ニュースリリース

【ニュースリリース】『コロナ禍における、子どもの体験についての調査』を実施しました

コロナ禍で突きつけられた「子育て格差」。3千世帯調査で、困窮家庭の55%は昨年クリスマスプレゼント無し、「新しい本を求めている」は、困窮していない家庭の5倍超。

2008年から述べ約4万人の子どもたちにサンタクロースとの思い出を届けてきた特定非営利活動法人チャリティーサンタ(所在地:東京都千代田区、代表理事 清輔夏輝 以下NPO法人チャリティーサンタ)は、2,994世帯の子育て家庭に対して【コロナ禍における子どもの体験についての調査】を実施した。
対象は「困窮する子育て家庭(2,118世帯※以下「困窮家庭」)」と「それ以外の子育て家庭(876世帯※以下「一般家庭」)」で、両者を比較することでコロナ禍における「子育て家庭の格差」とそれに応じた「子どもの体験の格差」が明らかになった。

 

■コロナ禍で行ったもの(=体験できたこと)

【Q:家族での過ごし方について、この一年間で行ったものに当てはまるものにチェックをお願いします。(複数回答可)】という設問に対し、以下のグラフのような結果となった。 ※項目は左から格差(困窮家庭と一般家庭の%差)が大きい順

「行ったもの(体験できたこと)」では、すべての選択肢において一般家庭が高い結果となった。
特に大きな差が表れたのは、以下の通り。

・【月1回以上の頻度で外食をする】一般家庭60.1%に対して、困窮家庭13.4%=46.7%の差。
・【家族旅行に行く】一般家庭51.4%に対して、困窮家庭5.0%=46.4%の差。
・【クリスマスプレゼントをあげる】一般家庭82.8%に対して、困窮家庭44.6%=38.1%の差。
・【博物館・科学館・動物園などに行く】一般家庭59.0%に対して、困窮家庭21.4%=37.6%の差 
・【ショッピングセンターに遊びに行く】一般家庭70.7%に対して、困窮家庭37.8%=32.8%の差

 

■調査結果から見えてくること

・《クリスマスプレゼントあげる》においては、困窮家庭は44.6%となることから「55.4%があげていない」と読み取れる。

・特に困窮家庭において%が低かった《家族旅行》においては、10倍の差が出た。コロナ禍で少ないと思われた家族旅行を一般家庭は半数以上がしていることがわかった。これらから、2020年春の緊急事態宣言をイメージするような「全員ができなかった状況」から、2021年には「できる人とできない人が明確になる状況」に変わってきていることが想像される。

・《公園で遊ぶ》といった無料で身近なものですら差が生まれている。困窮家庭の親のほうが時間の余裕がないという大きな理由もあるが、定性コメントには「ひとり親のため、万が一コロナ罹患してしまった場合を考えると恐怖で外出ができない。」「自分もしくは子どもがコロナになったら、それは失業につながる」といった内容も散見された。
 ・項目の中で最も肉薄していたのが《誕生日のお祝いをする》であり、すべての家庭が大切にしている行事であることがわかる。こちらについては第二弾のリリース(2022年1月以降を予定)で中心テーマとして取り扱う予定。

 

■コロナ禍で足りなかったこと(=体験できなかったこと)

【新型コロナ以降、家庭の中で足りなかったこと(用意・利用ができなかった)を選択してください】という設問に対し、以下のグラフのような結果となった。 ※項目は左から格差(困窮家庭と一般家庭の%差)が大きい順

「足りなかったこと(体験できなかったこと)」では、すべての選択肢において困窮家庭が高い結果となった。
特に大きな差が表れたのは、以下の通り。

・【新しいおもちゃや遊び道具の購入】一般家庭10.7%に対して、困窮家庭52.5%=41.8%の差
・【新しい書籍の購入】一般家庭7.9%に対して、困窮家庭42.0%=34.1%の差
・【家庭内でのアクティビティの準備(おうちキャンプ、家庭用プールなど)】一般家庭25.3%に対して、困窮家庭56.0%=30.7%の差
・【オンラインに関する道具(wifi、パソコン、タブレットなど)】一般家庭8.3%に対して、困窮家庭36.4%=28.1%の差
・【家族のみでの体験(キャンプなどの屋外体験)】一般家庭33.5%に対して、困窮家庭60.8%=27.3%の差
 

■調査結果から見えてくること

・一般家庭で最も低かった(=足りていた)のは《新しい書籍の購入》となり、家庭内で過ごす事が増えた中で必要性は高まったはずだが、金銭面の都合さえつけば、オンライン書店などから簡単に手に入るため低くなっていることが想像される。《新しいおもちゃや遊び道具の購入》も同様の理由から同じ傾向となった。

・言い換えると、金銭的に解決できることである《新しい書籍の購入》《新しいおもちゃや遊び道具の購入》がどちらも5倍以上の差が出ており、この結果に一般家庭と困窮家庭の経済的な格差がしっかりと示されたと言える。

・《オンラインに関する道具(wifi、パソコン、タブレットなど)》については、金銭面での解決に加え、既に環境が整っていたケースもあることが予想される。

・家庭の中で《特に足りなかったことはない》と回答した一般家庭が約3割(28.2%)いることにも注目したい。最も格差を感じさせる結果かもしれない。

 

■調査結果からわかること

調査の前提として、困窮家庭からの回答数(応募数)は、前年の約2倍となったことから、困窮家庭の絶対数が増えていることは間違いない。これは他NPOから活動状況を聞いても実感している。

 

2021年は日常が戻りつつある状況で、困窮家庭と一般家庭の格差は広がってきている。一般家庭においては「コロナ禍で、特に足りなかったことはないと回答したのが約3割(28.2%)」というの結果にも表れている。

特に「子どもの体験」という側面でみると、経済的な事情に加えて、時間的・精神的に余裕のすくない困窮家庭にはしんどい状況にあることが自由記述などからも見て取れた。

またこの格差は、今年だけにとどまらず、続いてしまう可能性もある。

 

これらから全体的な傾向としては、コロナ禍において「子育て家庭の格差は拡大している」と推測される。
 

なお、今回の調査結果の発表は第一弾で、2022年1月以降に第二弾を発表予定です。そこでは、「新型コロナにより増えたこと・減ったこと」について、「子どもの誕生日について」などより広い内容を発表予定です。また、エリアによる違いとして「都市部とそれ以外のクロス集計」も行ったり、定性コメントなども分析して深めていきます。

 

■チャリティーサンタができること「あなたが今できること」

 昨年のクリスマスには「55.4%がプレゼントをあげていなかった」と回答した困窮家庭。しかし、今年はチャリティーサンタがサポートし、希望する困窮家庭には全員へクリスマスプレゼントを届けます。

そのプレゼント内容は、子どもの年齢に合った絵本や児童書。これは「ブックサンタ」という取組で寄付として集まったもの。多くの一般の方々がブックサンタ実施書店へ足を運び、自ら選んで寄付してくれた絵本や児童書、図鑑、小説などです。

子どもたちへプレゼントを届けたい、と思った方は、あなたも誰かのサンタクロースになってみませんか?

■さいごに「クリスマスを諦めている親子のために」

私たちは活動を続ける中で、クリスマスを諦めている家庭があることに気付き、2016年より外部の支援者・専門家の協力を得て、本格的な調査活動をスタートしました。

「シングルマザーの3人に1人はクリスマスなんて来ないでほしい、と思ったことがある」という2017年の調査結果を発表した際、多くの新聞やテレビなどでも紹介され、世間は驚き、当事者は共感していました。
 

「短く貴重な子ども時代に、様々な体験経験をしてほしい」。

親だけがそれを願い、担うのではなく、私たち大人たちが手を取り合うことで、子どもたちを支える力になることができると、私たちは信じています。

 

今回の調査を通じ、困窮がゆえに十分な体験活動ができていない子どもやそのことに負い目を感じる親の存在に気づき、子どもたちの体験を支える仕組みづくりに一緒に取りくむ大人が増えることを期待しています。

 

チャリティーサンタの合言葉は「あなたも誰かのサンタクロース」

今回気付いた方も、個人で、所属企業で、団体で、子どもたちのためにできることを見つけていただければ幸いです。私達はクリスマス以外にも活動していますので、お声がけください。

 

■調査概要

調査対象:NPO法人チャリティーサンタの顧客である子育て家庭。主に2〜10歳程度の子どもの保護者(0〜18歳まで対象)。

 一般家庭は、自らクリスマスプレゼントを準備し、寄付として3000円を払ってサンタを呼ぶ家庭。

 困窮家庭は、主に金銭的な理由などでクリスマスのお祝いをするのが困難のため、無償でサンタを呼ぶ(もしくはプレゼント送付を希望する)家庭。

 ※困窮家庭は主に、ひとり親の経済的困窮家庭、闘病中の家庭、被災した家庭、親子が死別した家庭など。

 

回答期間:2021/10/1-12/9 

回答方法:オンラインアンケートフォームにて回答 

調査人数:2,994世帯

 (内訳)一般の子育て家庭:876世帯、困窮する子育て家庭:2,118世帯 

 

協力:調査票の作成においては、 IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者 川北秀人氏、 認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 赤石千衣子氏に助言・協力を頂きました。

助成:この調査は、2021年度 ドコモ市民活動団体助成事業「新型コロナウイルス感染症により影響を受けている子ども等の実態調査活動」の助成を頂き行っています。


 

※今回の調査結果の発表は第一弾で、2022年1月以降に第二弾を発表予定です。

 

【アンケート調査票】

■生活に関するアンケート

 

(1)家族での過ごし方について、この一年間で行ったものに当てはまるものにチェックをお願いします。(複数回答可)

・月1回以上の頻度で外食をする

・海水浴、キャンプやバーベキューに行く

・博物館・科学館・動物園などに行く

・スポーツ観戦や映画館に行く

・家族旅行に行く

・クリスマスのプレゼントをあげる

・誕生日のお祝いする
・公園で遊ぶ

・ショッピングセンターに遊びに行く

・特に当てはまるものはない

 

(2)必須お子様の生活スタイルについて、当てはまるものにチェックをお願いします。(複数回答可)

・毎年新しい洋服・靴を買っている

・習い事に通わせている

・子どもの年齢に合った本を用意している

・子ども用のスポーツ用品・おもちゃがある

・子どもが家のお手伝いをする

・特に当てはまるものはない
 

(3)新型コロナが発生以降で、あなたの家庭で増えたことを教えてください。(複数選択・その他選択のときは自由記述)

・親子の会話

・子どものお手伝いの機会

・自然体験(キャンプや登山など)

・社会体験(農業体験、仕事体験など)

・文化的体験(動植物園見学、音楽・演劇鑑賞など)

・家族旅行

・季節行事のお祝い(お正月、こどもの日など)

・テレビやyoutube、ゲームなどメディアの利用

・その他

 

(4)新型コロナが発生以降で、あなたの家庭で減ったことを教えてください。(複数選択・その他選択のときは自由記述)

・親子の会話

・子どものお手伝いの機会

・自然体験(キャンプや登山など)

・社会体験(農業体験、仕事体験など)

・文化的体験(動植物園見学、音楽・演劇鑑賞など)

・家族旅行

・季節行事のお祝い(お正月、こどもの日など)

・テレビやyoutube、ゲームなどメディアの利用

・その他

 

(5)2019年の生活を10点満点で5点とした時に、現在の生活のしんどさを教えてください。(例:良くなった場合7点、変わらない:5点、悪化した場合:3点など)

 

(6)新型コロナ以降、家庭の中で足りなかったこと(用意・利用ができなかった)を選択してください。(複数選択可)

・新しいおもちゃや遊び道具の購入

・オンラインに関する道具(wifi、パソコン、タブレットなど)

・家庭内でのアクティビティの準備(おうちキャンプ、家庭用プールなど)

・支援団体や地域団体の提供するサービス(無償の企画など)

・感染対策を行なったイベントやオンラインイベントへの参加

・新しい書籍の購入

・家族のみでの体験(キャンプなどの屋外体験)

・特に足りなかったことはない

 

(7)上記のような家族の過ごし方において「してあげたかった(けれどしてあげられなかった)」具体的なエピソードがあれば教えてください。

 

(8)その他、コロナ禍の体験に関することで感じたことを教えて下さい。(ネガティブなことポジティブなことどちらも)

 

(9)困り事があった際に頼れる相手について、当てはまるものにチェックをお願いします。(複数回答可)

・親・親戚 (同居、近居)

・親・親戚 (遠方)

・友人・知人

・勤め先

・学校・保育(幼稚)園

・行政団体(NPOなど)

・その他

・特に当てはまるものはない

 

■誕生日に関するアンケート

 

(10)子さんの誕生日で、行ったこと・準備したものを教えて下さい。(複数選択)

・ケーキ

・プレゼント

・部屋の飾りつけ

・外食

・(家庭内での)特別な食事

・レジャーなどのお出かけ

・その他

・特にない

 

(11)お子さんの誕生日を準備する中で、どのような感情になったかを選択してください(複数選択)

・楽しい(楽しみ)

・嬉しい

・プレゼントの準備が大変

・お金がかかって大変

・切ない

・しんどい